SEXのあいうえお

辻真邦

その2 ワサビの心


〝「ワ」…脇役に徹し

「サ」…先を読み

「ビ」…美意識を常に持て〟


2─1 手間の価値


みなさんは、伊東家の食卓というかつて日本で放送されていた番組をご存じでしょうか。家庭での裏技、豆知識を紹介するものでした。その中で私が現在でも用いているものが1つございます。それはお風呂上りなどでバスタオルを腰に巻く際、止める部分を内側に入れるのではなく上の部分一周を外側に折りたたむと解けにくくしっかりと巻けるというものです。小学生のころに見て、実際にやってみると「確かに!」と思いまして、それ以来20年近くその巻き方をしています。もう知らなかったころに戻ることはできません。ぜひ

みなさんもやってみてください。便利ですよ。

しかし今回のテーマは伊東家の食卓とは、反対のもの、言うなれば林家の私服なのです。


東坡肉という料理があります。これは中国の官僚が考案した皮付き豚バラ肉の角煮になります。官僚が政敵に追われて流罪になった土地は、豚肉の安いところでした。しかし豊かな人はそれを食べようとせず、庶民は料理法が分からず食べられない状況でした。そこで編み出されたのがこの料理になります。

皮の部分、脂身の部分、そして赤身の部分、それぞれが三味一体となり、ねっとりとしているが全くしつこくなくとても美味しいものです。では、作るのが難しいかといわれるとそんなことはございません。皮付きの豚バラ肉を丁寧に処理して根気よく蒸し煮するだけです。つまり手間をかけてやるだけです。

みなさんもSEXを何年かやっていきいろんな技術を覚えていくうちに、技術を覚えることにばかり一生懸命になってしまってはいませんか。そしていつの間にか相手のことなんかそっちのけで技術だけでするSEXになってはいませんか。このようなSEXは、見た目はいいもののやってみるとまるで味気のない、とてもSEXとはいえないものになってしまいます。

みなさんはプロにならなくてよいのです。素人のままでよいのです。技術がないだけになんとか相手に気にいってもらおうと必死になってやる、つまり相手のことを考えるという態度がどうしてもSEXの中にでてくるのです。秘訣は愛情ということです。


〝春宵一刻

値千金


花に清香あり

月に影あり


歌管楼台

声細細


鞦韆院落

夜沈沈〟


SEXに愛情を出すためには、まず自分の性器を愛することからはじめましょう。そのためにお名前をつけてみるとよいでしょう。私ももちろんお名前をつけています。なにかって? ご紹介しましょう。それは「ちんちん」です。普通ですって?確かに普通かもしれません。しかしただの「ちんちん」ではありません。1つは元気のいい、もう1つはしとやかな、2つの玉を従えている「ちんちん」です。1玉の名は勇気、1玉の名は親切。

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