SEXのあいうえお

辻 真邦

1―5 晴天の下

あなたは、健康ですか。健康になりたいですか。健康になるためにはまずは足から、毎日一万歩のウォーキングをしてください。


どうですか。歩いてみたくなりましたか。

私はなりません。歩くことは好きですが、私が好きなのは

〝そうやねえ、あてもなく、そぞろに、ぼんやりと歩くことやねえ〟

のあれなのです。



ここまで読んでいただいた方の中にはこのように考えはじめている人もいるかと思います。

SEXは格闘技だ、と。


これは正しいようで間違っているようで正しいようで、しかしながら皆既ではない。


……おすもうみたいだね…

と言われたい気持ちも分かります。


相手方を真っ向から、時には搦め手を用いて緩急織り交ぜ、攻め倒していくものだけではありません。そもそも競技ではありません。将来もし競技SEX協会、通称A.S.A.なるものができたとて、私は絶対に入りません。反競技SEX協会の代表、通称anti-A.S.A. Presidentに立候補しましょう。


ではどうすればさらに先に進むことができると思いますか。ヒントはいままでお伝えしてきたことは、どちらかというと足し算つまり攻めに偏っていたといことです。


どうでしょうか。分かりましたか。「受け」ではありませんよ。確かに攻めの反対は受け、その2つが交わり攻防となるのです。さらに受けは攻め、攻めは受けとなるものです。つまり回ってしまえば同じものということです。ジキルとハイド、秩序と無秩序、目羅と本間、フェルマーとダルマなのです。



ではどうすればよいか。それは投げです。

〝ありません〟であり、〝あっぱれ、あっぱれ〟であり、〝やっぱコイツ強ぇわ、もうだめだ〟なのです。

きれいに負けるのが美学ということを言うつもりはありません。しかし、はなから負ける気でいてはきれいに負けれないとも僕は考えます。さっぱり負けもじくじく負けも、うぅもよいと思います。ただ辞世の句を詠むとしても下の句は述べないでいただきたい。蛇足だこいつー、となってしまうから。できることならば、晴天の下に投げ出されたように。うまれた時のように。



でも安心してください。あなたはもう簡単には倒れない。

ただ気負うこともありません。

〝リラックスしてもしもボッキしなかったら、優しくベッドで抱きしめてりゃいーんだ。そのうちなんとかなるよ〟



ここに、開花宣言と相成りました。

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