黴臭くかどがないだけの丸い一日は肺の暗室で、15㍉の緋色が滲む。ザラなテーブルのうえに這いつくばり、まやかしが降り続ける
長雨の余光に押し通そうとする(それぞれの領域が)灯り蔓を掴んで 蝋燭の芯に見立てたのだとか
小刻みに赤みを帯び、それでスライドした幾何学の皓り
窓辺に干された約束が引き裂かれずに糸電話になり、頼りないほど飲み下す。お釣りが出て、悪びれずに匙だけが為に目覚める。あくせくした小径にて月と決めこんだ。ただ価値を添えるの
そのうち
glassの灰皿、箸置きの兎、電球の褪せり。「眠れない」と云えばまた朝になった。耳だけが残されていたみたいで〝誰かいますか〟と
異国の言葉より開かれなかった虚実で満たす今である体が乱雑を極め、孵化をやめない
ひかり・翳り・こわがり、傾いて
汐。葩、杯。巨大な呼吸器のような
むしろ在りし日に髄がなく、まるで寄り添うように抱き合うように膨れあがる。穢れている。と、半透明な椅子に存在意義をも見上げれば目映い。崩れる、未完成のデッサンみたいに指をなくして、泣いていたveil
地表を覆う雑品が傲慢に生き、クロークに預けたはずの影が隠さないでいる、いつまでたってもかすれがすれ、満ち欠けのようあえて流して。つけ込むように。震えを止めようとするBöse
今日和。とおくで梟が鳴いた気がする
その往復を。一枚のめくれ目のもとからついに口ずさむ
クレヨンで描いた神床の、純銀の苔は今、雨が散らばる秘密基地に似ていた
無口な秒針は空回る。もじゃくちゃのあたまをふりほどいて、
指先で抓む。だれか饒舌な宝石だと芽吹いていて。付加している。優しさは首を吊る、莨を踏み消してさ。その手を携え温めた房を与えに行った たいへん静かな縮図だった
日々──これは、ひとつ屋根のした。滲んでいく。いえいえ。(或るからだ/接触)概ね、考えてみると(湯呑の茶が立つ)美しいシンフォニーにつまされ、刈入れられる、
のすたるじあ。微風におもう。むしろ時間の遅滞になり手足とあって。高い木のてっぺんにみた鴉色の、重みだけがこちらへ歩いてくる
白夜みたいに流れ去る。紙飛行機に願う
眠らない旅客機に、羽音忘れゆくひとびと
良いも悪いも空調は相変わらず〝示さねばならない〟ShutterもFilterもチラつくとき。低い唸り、まばらな返事だけが標されるみたいに、涙はうたわない、ここで。ゆるぎない薔薇はすぐに老い、老いたぶんだけ香りを増し、
舌に余る。ばら、ばら、ばら、と
膝を抱えては祈った。点滅に敷く棲息の憎しみも次第に賑やかに 訝しいほど散る。調整の手はここにはいない、うわのそら 原野みたいな風采、増したぶんだけ部屋の隅の鏡を深くした
──私。
消印の滲んだカード。妊んだり縮んだり揺れた。この指、とまれとまれとまれ、と呼ぶものは、痛くも痒くもないふりをする。坂道が曲がる 黄昏色 鈍い茎も緩慢に頷ける。雛芥子の手を握る、
ちいさな こえで ありましたか
空洞の果実から夜は耳を貸して眠たすぎる。夕暮れを子供サイズに仕立て直している。眠りこけた妹を抱えあげ、ちんまりまとまった箱庭みたいに
またあなたはマスクの内側を曇らせ風のせいだと目を伏せましたね。ひどく古い速度でポケットにねじ込んでいた手巻時計は知っていたか
それは──快感か、発露か、反射か、生理現象 でも、そのひび割れた空気もざわめきもノイズだから。こう枝は尖り煙りになす視界ではなく、横手にも窓があって 押し寄せてくる 汽車が奔る
いつぞやの分岐点たち
こわばって、
返事は疎かにしては成らないものだけが
残る。
(無為にきこえるか)
違う。
半拍ほど先回りして改札口の脇を通り過ぎた
目と鼻の先だった 風が 一℃だけ強くある
すくなくとも今のところ、ここに目はない、が。ぬるい財布を開けて、枝が、草が、槌が、夢。夢を払う。遠い國の暦が一日ずつ減っていった。今に浮きがらせるだけの拍手が腐敗している
なのに玄関ホールはため息ひとつで断崖に砕ける木の絵を思い出している
息を吸う細さは上ではなく横へ散り、おそらく身動きしないまま死ぬ気がしている
(どうして僕たちのところへ)
夜更けまで照らし出した青い光が、硬くなった銀糸で伝っていた道端、天鵞絨へ街路樹に祈りを垂らす
忍音っていうのかな
ぬくみだけが重ねる、うすく口紅のような錆が掲げている。 ざら、ざらら、ざらにすくえない 開かずの扉に辿り着き、
どっぺるげんがーは大きな声で確認し続ける。むかしむかしの体温が、よく磨かれた風采は、おいおいと戻ってくる
誰も答えない。こまどのそとから
白飛びした。名を持たずに気づかれずに
薄氷色のリボンとブーケから弾き出された。ただ眩しいばかりに、彷徨くように部屋から逃れていく。擦過音だけが回転している隔世は
滑稽だなって自虐しつつ、暮れ泥む てのひらで託って。できるなら、そのとき、毛布の温度を抱いて、
ここに遅れて近づくものが、あくまでかたちを持つ。欠かせたくない。
沈黙そのものを施錠したみたいに 壁紙の花模様を数輪ほど枯らしてしまうのだった
針はまだ落ちていない。じくじくになりながら 片眼鏡 黒白に継ぐ
むずがゆい折り目の深さだけが確かで、ようやく海の音がする。また、脊の頃は脈々と探し歩いた。襞の味がした
その詳細さは〝かけたなにか〟で 経る、
円らに揃い 角を節において元より巡ることは。優しい顔で、拭い去るにはぬくみが強すぎる羽根を、斑に照らし、くるしいなと、じゃあどうするって常に自答する『冏』