アマチュア無線を始める2

市村剛大

[1] 免許申請
受信だけでは物足りなくなった私は、ついに免許申請をすることにした。アマチュア無線の免許には「第四級アマチュア無線技士」から「第一級アマチュア無線技士」まであるが、まずは入門として第四級を取得することにした。試験は選択式で、無線工学と法規の二科目。過去問を繰り返し解けば合格できるという情報をネットで仕入れた。

[2] 試験勉強
無線工学の内容は、オームの法則から始まり、抵抗、コンデンサ、コイル、トランジスタ、周波数、波長、アンテナの仕組みなど、基礎的な電気の知識が問われる。法規は、電波法を中心に、無線局の運用に関する決まりごとを覚える必要がある。どちらも暗記すれば何とかなりそうだ。問題集を買い込んで、通勤電車の中で勉強を始めた。最初は記号だらけで意味が分からなかったが、繰り返すうちに少しずつ理解できるようになってくる。

[3] 試験当日
試験会場は都内の貸会議室だった。受験者は意外と多く、若い人から年配の方まで様々だ。なかには小学生くらいの子供もいた。試験は午前と午後に分かれており、私は午後の部を受験した。開始前、緊張して何度もトイレに行く。いざ試験が始まると、過去問で見たような問題ばかりで、思ったよりスムーズに解答できた。手応えはある。結果は一ヶ月後に郵送されるそうだ。

[4] 合格通知
一ヶ月後、郵便受けに総務省からの封筒が届いていた。恐る恐る開封すると、「合格」の文字。やった! さっそく免許の申請手続きをする。申請には開局申請書、無線機の技術基準適合証明(技適)番号、設置場所の地図などが必要だ。書類を揃えて郵送し、さらに数週間待つ。そしてついに、「無線局免許状」が届いた。これで正式にアマチュア無線局を開設できる。自分専用のコールサインも割り当てられた。JA1から始まる、アルファベットと数字の組み合わせだ。

[5] 初めての送信
受信機とは別に、送受信機(トランシーバー)を購入した。中古の144MHz/430MHzデュアルバンド機だ。アンテナを接続し、電源を入れる。マイクを握る手が震える。「CQ CQ CQ こちらJA1〇〇〇、CQ CQ CQ こちらJA1〇〇〇、どなたか応答願います」。初めて電波を発射した瞬間だ。しかし、応答はない。何度か呼びかけてみるが、やはり応答はない。そうだ、前にも感じたが、この帯域はあまり活発ではないのだった。

[6] 初交信
何度目かの呼びかけの後、ついに応答があった。「JA1〇〇〇、こちらJK1△△△、どうぞ」。心臓が跳ねる。相手は都内在住の方で、アマチュア無線歴は三十年以上だという。初めての交信だと伝えると、「おめでとうございます!」と祝福してくれた。電波状況の確認、お互いの使用機材、天候の話など、他愛のない会話だが、見知らぬ人と電波でつながっている実感がある。交信終了時には、「73(ベストリガーズ)」という符牒で別れを告げる。受話器を置くと、なんだか不思議な達成感があった。


これがアマチュア無線の世界への第一歩だった。インターネットがあれば即座に世界中とつながれる時代に、わざわざ免許を取って電波を飛ばす意味はあるのだろうか。しかし、交信を終えた今なら分かる気がする。この、不確実で、不便で、でも確かに「つながった」という感覚。それがアマチュア無線の魅力なのかもしれない。

(続く)

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