さんぜんとひとしずくのいっぱい

あらいれいか

私は 木目地にすぎない。
光がひずみ
色が変わり、 そのテンペラを細みガラクタはあつまって
苑内を崩してく          間仕切りには丁度
              月光浴ディストーション。
しみついているから。小道で錯綜している
扇の風でめくれ上がり。ゐってしまった
膚らの砲弾は放りだされた耳をふさいでいて
         コトヅケられた時間が引きのばされる
人工的に与えた翅翼を、護られている   /あさって、
夜道を別れて亘る なにもなかったかのように 
                 どこからか濯われる
  
   無言で開け閉めできる戸はない

そして群青万華鏡はまっすぐ見つめておらず
置石迷宮。イクツカのライナーノーツに換装され
また新しい形を生みだしていく

どこからが売女で半年もすれば小鬼か、終幕をみないうちに褐斑して それで つい往復して。絶え間ない生霊のように不審で、手にするは雪無限に ネジきれた対価はよろめきな熱流のやうな既設はなんもいわずに。かぎわけてちょっとよくみてみる夜、上乗せする堅いものだよ

とおりのぎょうこうが   しじまに    ながれゆく
ぶら下がっている。  いわぬが花  去るはこしかけて
    入り口知覚に、かあきいろの、ミチの真ん中に。
舞い戻ってきた、
     あちこちからつまんだ舞台の骨格に送っても、
    カーテン越しに漏れ、それにしても反動を立たせ
       返事はなく、坂をまがり 名残の湿り気が

では三日月。と、痕跡をみると──
  わずかに曇らせている

横たわるキノウのパンフレット。すべてを掘り出しては形を変える ジュウジのペンダントランプ(ひかりがガラスの場にひくと、漂う度合いがノックして)同心円の蝙蝠を嵩とし切る。(無機質ながら等級雲列)翡翠色の静寂部が吻をビニルに降らすと、その隣に、文言が汚い字でおさまっている

  情       なあ なんの用途も持たないために
中 心 配            作られたものだが、
  感         ただひとつの目的。ここはどこ

大して葉陰のラベル貼られ、      微細に あす、
乾いたミルクの匂いが仄かにぶらつく。痕跡は剥げ落ちて
ならびに目を凝らすと、      孵化する きめらを
(空洞は)          土のケロイドをべた
そこで眠っていたらしい        生前・収束して

           焦げたかおりがしつこく鼻を刺す
合鍵の標本、少し波打った季節のいろ
 (元気でいるよぅ)  温かい、と、ものを汲むしぐさ

雨おとが降ってくる
 ──ときに、かんがえこむ/ときに、みをよじる──
線が途中で途切れている        名については
         よくよくヴォルトルクスが溢れ出す
 
今は)軽い抵抗。勢いに任せて笑っていて。まだすこしだけ湿っているボトルを回すたびに。細かいことにはページの端に切り抜きあって、なめらかな釦と埃と疲れが、沈み込む柔らかさで支える 途中手を置き、使い方はラクだが、

   サンゼンとひとしづくの一杯につたっている
     〝南から雨に・東へ手を振る〟
      不可解なママゴトではだかる

  おどろしきあるときは/しぼりだすようなゆうべ

あらいながしたツラは夢遊病者の数値や履歴を超えて、読み捨てた新聞、バランスを伴って。たくさんの指紋に曇り 真正面のあなぐらの心臓にとどめる 絵顔、倒れたポップコーンほど 無造作に 立てかけられた規則 正しく目を通したが

  その土をかぶった木製のぼろぼろに契る破片
                  拘束彗星の同室。
           たとえば

トリは(、)であるから──
がらがらに設けたちまたでは、   最後尾で惹き寄せる 
あらしのなみ         めを失い(げんふうけい
栞紐(spin)        円形に看ず、薄い口笛
       
無作為に貼られた迷子脅しの針で マグをくすぐる
年齢不詳の火の手、舌先にまとわり付く 曙光の銅版えっちんぐ

羅針盤のぶりき鳴きかげ(うつくしかろう!)指先に熟れる軽さが、声のかぎりに無底のようでいて、口に運ばれていく。垂直を知らぬまま/深度をかくして鼻腔にひりつき、何気ない角度が呼吸をおしつぶす、

では カタテマの詭弁
   光沢を帯びたフォグクレバスの深み
   ぜんやのだんしょうをおもいおこさせる

ただの装飾品だと苦み かがみみれば加減物で だれか番号とおくまでミツコクして 毎日そそがれていて、耳を包む あれら、遺言状のスれッカ裸子。ほかに瞬く 小さな水たまりは自身では。すそをひいて。かかとがれるざらつきと、背中を支える汗の匂い。

だから はなしただけで
峰や棟。かげぼうし と、みわたすのだった。
         リビングフィラメントの脈 しづかに
           まるめた酸味が 幼い 取っ手頃
濫觴となった爪音/眠りのベース
あきらかなものがダイチョウのどぶ連れ
ヨツユのロゴが金色でタメイキされ
どこか不自然で              少しばかり
            (置かれたスウプをからませる 
やはり変わりゆく         険しさも閉じた約束
一部始終を眺めていた        胎動エレクトリカ
                   ほしひとつめくわ
浮いているように感じる    青写真をいちまい選んで

規則的に視界をきざむときの隅で、問いにこたえることはなく。行き場のない喧騒がコダマしている。割れ窓から冬の風が、絶えずふるいハヲトを囁きつづけ、漣がときを継ぎだすように掌に絡まり、壁にしつこく捲る 未開封の誰かの席を覆っていた そのあいまに脱ぎ捨てた

指先に染みる若いインクの薄いレシートでも。頭を下げる 背中を丸め ときおり、彼方 白いてのひらから、齎される。輪郭、湾曲な造作をきに停めた様子はない

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