序説では、具体的にすでに書かれた詩を引用して論じたりはあまりしません。便利道具とその由来をおもに示していく。生成AIとはちがう不思議道具を提供してみたい。実際、生成AIには魔術力があるようで、というかひとはどうにも新しいテクノロジーに魔術をみいださずにおけない性があるらしい。そのオリジナルギャングスタが文字という道具だ。文字はまず法として、宗教や国家の規範力となった。が、同時に、文字は詩というアベルをも生み出す。盲目のホメロスは、口承詩をうんだ。が、文字の詩ができてからあとで詩と呼んだので、それまでは口承文学、いやこの文学にも文がある。つまり名前のない何かだったと考えたい。とにかく詩は、どうやっても文字で書かれる声なのだ。文字という毒の血清と書いたこともある。わすれがちだが生成AIも文字だ。しゃべるやつも、いかに口語体であろうと文字を読み上げている。文字がなければ、これをめちゃくちゃあつめてアルゴリズム活用してうんぬんかんぬん出来ない。そして、生成AIが来る法と化す循環は、文字に化かされてきた有史人類のいち反復を演じても不思議でない。わたしはそこに魔術をみいだす蒙昧な人間の側にむしろ興味がある。詩はこのじっさいはただの自動機械にすぎぬ無機物に、人格や神性やもしかしたらエロスさえも見出す奇妙な心がつかまえる。知恵はどんなにインターネットの情報を集積し「学習」したとしてもそこにはない。ただわたしたちの原生生物それ以前、ただの原子だった頃からの記憶をもつこのからだにある。