星廻り沈没船

麁(あらい)



名前を殺した銀の縫い針で純粋で平和な星の生き物の残響などを弾く、その余光。しめやかな案内を聞いて、近くに住んでいて紙ナプキンに重力の連絡先をスケッチしました。ただ、いまにあるのだろうかとふと、異質な梢が熱を吸収できず吹き溜まる場所。すでに波赤く染まったシジマでしたか。ああ、かき分けて運行する魂の増減が、縫い合わせた落石により捨てられた冷たく長く浅い朝。では私の心はどこからきて、どこへ迎えられるのでしょう。この墨に軋む手のひらに夏の創造を置いた。いつかの苹果の木の感嘆を隠している、おぼつかない裳裾であったはずのふかぶかのみずは腐り。思うようにゆかず汚い顔でかたまってしまった。ほらテクスチャの剥がれた外観からはみ出す。これら頑なな痕跡が〈轍が飛行機雲が葬列が、〉名残留める面影が、正午、自我や景色へ鈍色の鍵となる。そこに瑠璃散鳥がいた──ふりむけば獣道とする己の通り過ぎた道が。髄が節が、蘖(ひこばえ)が、くすみがかるニンゲンが──あられもない場を、伏し目がちにおるのだが、今にしてひとりもいないのだから、とほぐされ揮発する。このなにかに縋りつく妄想、逃げ場を求めて。風になびいて消えたりみえたりを繰り返していた。結局。もう廃ロープウェイのゴンドラから飛び去った影。これは山肌を文字で埋め尽くした装飾とそこから降り注ぐ、盛りがついた花々と、おおく、大きなあくび、葉焼けを起こした肌さえも見境なく、尾は萎びぶら下がっており、窓の外はもうしゃがれた風を置き去るばかりにボロボロだが。そう、顔も意識も点滅している。このティアクラウンの周りをみてくれ。絡み合い茂っていた──ここが心臓にして奥にして白一色の兆候を抜く、薬瓶は青く溺れてました。さっきまで脈打った常夜灯は穢れ、土壌の逃避経路はビオトープの斜面を愛でるばかり。むしろ彼では彼女では、ケム(煙)ではないのだろう。カラフルな絵本に翻訳機を通して見る0.5文字ぶんのどこからが庭口の小路であったのか、またなにもかも言い出したら止め処がないから。枕木にちかく立つ森の木漏れ日に溢れいる何本もの小川が集り、ゆすりながら、グリッチを気化せ、円盤へと再製しました。母体ではないすきまを叩くあかるい日陰にあるからだとおもいこむ。「しばらくぶり」で「今日もお疲れ様です。」と転変するにも憚られるは、もうこのところにはミチがないからやはり。誠実さと語り口の、引き込まれる遊び心の或る雑聞愁。切ない旋律とその愚かさだけを暴く翼の海流へ。ただすべからずそこへ落果するのみ。

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